訪問理容における衛生と対策

システム監修 埼玉県理容師:藤井実/大阪府理容師:前田実

○訪問理容とは、以下のような状態と考えます。

  • 様々な理由で店舗へ御来店頂けない御客様を対象とします。
  • 御客様の御自宅(部屋)における施術サービスです。
  • 施設や病院内における出張理容のように複数同時の御客様を対象としてません。
  • 御自宅(部屋)での施術を希望された御客様個人が施術対象です。
  • 訪問した理容師は施術終了と共に理容店もしくは自宅へ戻ります。

○訪問理容における消毒の考えです。

  • 施術道具は、訪問先での使用を考えて法定消毒により事前に衛生処理されたものです。
  • 使用した器具や道具は理容店において、最終消毒処理をいたします。
  • 使用した器具に付着したタンパク質を乾燥させない状態で最終消毒処理へ移行させます。

○仕事などでの多忙を理由とした訪問理容などは特殊な例として、一般的に訪問理容を望む御客様は以下のような御客様が対象と考えます。

  •  高齢者
  • 病気を患っている方
  • 怪我をされている方 
  • 1回の訪問に対して、一人の御客様が対象

 
これらは訪問理容における衛生環境や消毒などの対策における定義とします。それは専門施設がある理容店舗、病院や介護施設などでの施術環境とも区別をしないといけないからです。また一回の訪問時に対応する御客様が、一人か複数かでも大きく環境条件が異なります。環境の違いを理解してからでないと、御客様及び技術者にも大きなリスクが発生する危険性があります。


○訪問理容における消毒対象菌及びウイルス

  • 白癬菌
  •  HIV
  • 肝炎ウイルス
  •  結核菌
  • ノロ・ロタウイルス
  • 皮膚疾患
  • その他感染症

これは、御客様の飲食を含む生活環境下であるためです。理容師は、御客様の健康状態や訪問先の状態を把握せずに訪れる事も前提として考えなければいけません。インフルエンザウイルスなどもありますが、技術者と御客様両者にとって感染した場合に重篤なケースになるのがノロウイルスと考えます。
 
訪問先で御客様が体調を崩され嘔吐された場合は、流水施設があるようなら流水洗浄します。できない場合は吐瀉物をキッチンペーパーで取り除き袋に密閉して廃棄し、器具にキッチンペーパー(もしくはタオル)巻いて、フィリオ30ナノを噴霧し乾燥させないように密閉容器にいれて持ち帰ります。乾燥してウイルスが室内に浮遊してしまうのを防ぎます。


訪問理容において使用する薬剤です。

フィリオ30(500ppm) 

高濃度次亜塩素酸弱酸性水溶液フィリオ30の原液。反応後は残留性が低いため、使用後に洗い流さなくて良い。

ロータスクィーン(5倍希釈) 

中性ナノ洗浄剤。家庭用中性洗剤でも代用できるが泡切れが悪いものは、成分が残留しやすいので注意。用途によって希釈濃度が異なるが、フィリオ30の添加剤として使用することもできます。フィリオ30に添加することにより弱酸性次亜塩素酸洗浄液フィリオ30ナノになります。 浸漬にも使用できるが、使い捨てが基本である。希釈濃度は以下の通り。

  • 血液付着/脂汚れ:5倍希釈
  • 一般洗浄:30倍希釈
  • 浸漬洗浄:200倍希釈
  • 洗濯:2000倍希釈

フィリオ30ナノ

弱酸性次亜塩素酸洗浄液。フィリオ30nanoクリーナー(製品版)もしくは、フィリオ30原液に対しロータスクィーン200倍溶液とします。ナノ洗剤成分による強力なタンパク質分解効果があるが、使用後には洗い流すことが必要です。

洗浄ルネサンス(200倍希釈液)

弱アルカリ性洗剤。水2Lに洗浄ルネサンス10gの200倍希釈溶液。浸漬させることにより、器具についたタンパク質を剥がしやすい状態にします。

エタノール(法定濃度)

76.9〜81.4v/v%が法定濃度。薄くても濃くても効果が落ちるので注意してください。


 施設または在宅で、複数を施術する場合における予備洗浄消毒
在宅者を個別訪問したり、施設で複数の方を施術するような特殊状況環下で複合洗浄消毒nanoシステムは、弱酸性次亜塩素酸洗浄液フィリオ30ナノにより付着したタンパク質の分解除去及び消毒を致します。そして、帰店後にエタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどの工程を行います。
 
フィリオ30ナノによる「洗浄消毒」が、訪問先では重要な事前洗浄消毒作業となります。そして訪問先の条件に合わせて、洗浄消毒後にフィリオ30や洗浄ルネサンスによる「洗浄工程」で仕上げますが、タンパク質汚染がひどい場合はロータスクィーンを使用して洗浄いたします。
 
そこで重要なポイントは以下のようになります。
 
「血液などを含むタンパク質汚染された道具器具類を現場で洗浄消毒を行い、全ての施術が終了した時点で、なるべく乾燥させずに理容店での第二次法定消毒作業へ移行させること」
 
使用済み道具器具類に付着したタンパク質は、放置し凝固させてしまうと消毒薬への分解耐久力が増してしまいます。また、乾燥したノロウイルスなどは理容室における消毒作業時の二次感染リスクが高くなります。訪問先で感染リスクがあるタンパク質をなるべく除去してから、理容室での法定消毒作業を行う事により、複合消毒作業の安全性を飛躍的に高めます。


訪問前の準備〜理美容器具以外に必要な物
使用する道具類は蓋付き密閉容器に収納して運びます。また、消毒済みの鋏・剃刀などはキッチンペーパーなどに包みます。カットクロスやタオルは使用後に次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)にて浸漬処理をするので、色柄物はさけてください。

ステンレス皿

施術中に道具を置くのに使用します。衛生的な使い捨ての袋に入れて持ち運びます。

キッチンペーパー

道具類を包んだりする他にも、簡易的なタオルの代わりにもなります。使い捨てです。鋏など包んだりして持ち運びにも使用します。

アルコールウェットティッシュ/ティッシュペーパー

訪問先でも使用した道具などを拭くのに使用します。

シリコン手袋(超薄型)

皮膚疾患や、肌に出血などの異常が認められる場合には、手袋をして施術いたします。

指サック

御客様に対して、手袋を装着して施術するのが困難な場合に使用します。シェービング時の添え手や、髪の毛を挟む手指(右親指・人差し指・中指など)のみに着用します。

マスク

訪問先での施術時は常時着用とします。免疫力が落ちている御客様の場合は、技術者から飛沫(空気)感染リスクが高いためです。国際規格M101のマスクを推奨いたします。

白衣

訪問先で着る仕事着。なるべく簡単に脱着できるタイプが望ましいです。汚れが判別できるよう、白衣もしくは色か薄く、柄のないものを推奨いたします。施術中に嘔吐などによる汚染が予想される場合は、複数枚必要です。

密閉容器(タッパー)

電子レンジで使用できる密閉型耐熱容器です。基本的に使用する道具類を入れる容器として使用いたします。

訪問先での洗浄消毒nanoシステム

毛髪の癖直し

御客様の具合により長期間洗髪が無理だった場合の毛髪処理として、フィリオ30(500ppm)の10倍希釈液(50pppm)を使用します。200ppmでのオープンパッチテストにより肌への影響は立証されておりますが(第三者試験機関検査結果を参照)確認をしながら噴霧処理してください。なお、フィリオ30ではない次亜塩素酸は使用しないでください。次亜塩素酸以外の成分(ナトリウム)が多く含まれておりますので、肌などへの影響がある場合があります。フィリオ30は高純度の次亜塩素酸弱酸性水溶液でありますので、可能となります。癖直しをすることにより、毛髪上の雑菌などから施術者の手指感染を軽減します。

 鋏/トリマー/櫛/剃刀/その他

ステンレス皿に置き作業をします。作業途中の洗浄作業はフィリオ30(500ppm)を数回噴霧(5回で1cc)し、ウェットティッシュで水分を拭き取ります。ウェットティッシュに含まれるアルコール成分が皮膚に刺激を与える場合は、ティッシュペーパーもしくはキッチンペーパーを使用します。
 
施術終了後は、全体をテッシュペーパーで覆い、フィリオ30ナノを全体に噴霧し、新しいテッシュペーパーで拭き取ります。その状態でフィリオ30(500ppm)による噴霧洗浄を行います。器具に直接フィリオ30(500ppm)を全体に十分に噴霧洗浄させ、新しいテッシュペーパーで拭き取ります。ATP試験結果でも、この工程で約98%のタンパク質が除去されております。
 
その後にキッチンペーパーで包み、洗浄ルネサンス200倍希釈液を十分に噴霧させ密閉容器に入れて持ち帰ります。洗浄ルネサンスによる道具への影響は殆どありません。

シェービングブラシ

シェービングブラシが使用できる環境下では水洗いができる可能性が高いですが、流水施設もしくは水分がなく使用した石鹸が流せない場合は、ブラシをティッシュペーパーで包み、濡れた状態で密閉型袋に入れて持ち帰ります。
 
訪問先で石鹸が流せる場合は、流水洗浄後にフィリオ30ナノを中心部に噴霧し、手袋をして軽くブラシを揉みます。60秒後に流水洗浄しティッシュペーパーで包んで、フィリオ30(500ppm)をブラシ内外部に噴霧した状態で30秒後流水洗浄し、密閉型袋に入れて次の施術に使用します。

シェービングカップ

お湯を捨ててからフィリオ30ナノを噴霧し、流水消毒を行いフィリオ30(500ppm)を噴霧し、ティッシュペーパーで拭き取り、密閉型袋に入れて次の施術に使用します。使用後は密閉型袋に濡れた状態で洗わずに入れて持ち帰ります。

タオル

施術終了後は、素肌が触れた部位にフィリオ30(500ppm)を軽く噴霧します。密閉容器に入れて持ち帰ります。血液が付着した場合は、付着箇所にもフィリオ30(500ppm)を噴霧してください。 嘔吐物なと重度のタンパク質汚染があった場合は、流水洗浄できる場合は、ロータスクィーン5倍希釈液で洗浄後にフィリオ30ナノを噴霧して使い捨てビニール袋に密閉して持ち帰ります。できない場合は、そのまま袋に密閉して持ち帰ります。どちらにしても乾燥させないように注意してください。

カットクロス

施術終了後は、素肌が触れた部位にフィリオ30(500ppm)を軽く噴霧し、密閉容器に入れて次の施術に使います。
 
血液または、体液が付着した場合は、付着箇所にフィリオ30ナノを噴霧したのち、フィリオ30(500ppm)を噴霧して、密閉容器に入れて持ち帰ります。
 
嘔吐物なと重度のタンパク質汚染があった場合は、流水洗浄できる場合は、ロータスクィーン5倍希釈液で洗浄後にフィリオ30ナノを噴霧して使い捨てビニール袋に密閉して持ち帰ります。できない場合は、そのまま袋に密閉して持ち帰ります。どちらにしても乾燥させないように注意してください。

白衣

施術中に嘔吐などにより汚染があった場合は、流水洗浄できる場合は、ロータスクィーン5倍希釈液で洗浄後にフィリオ30ナノを噴霧して使い捨てビニール袋に密閉して持ち帰ります。できない場合は、そのまま袋に密閉して持ち帰ります。どちらにしても乾燥させないように注意してください。対処後の施術は、新しい白衣に着替えてから行うこと。

ブルーシート

箒で刈毛を集め使い捨てビニール袋へ入れます。その後、フィリオ30(10倍希釈)を噴霧し、手袋着用で、ウエットティッシュで拭き掃除し次の施術に使います。使用後も同じ工程を行い使い捨てビニール袋に入れ持ち帰ります。 嘔吐物なと重度のタンパク質汚染があった場合は、流水洗浄できる場合は、フィリオ30ナノを噴霧して使い捨てビニール袋に密閉して持ち帰ります。できない場合は、そのまま袋に密閉して持ち帰ります。どちらにしても乾燥させないように注意してください。
 

訪問理容終了後の理容店における消毒処置

訪問先から理容店に戻りましたら、予備洗浄消毒された使用済道具器具類を法定消毒法に則り消毒処理いたします。帰店後は、使用器具を流水で洗浄し、再度「第一次洗浄消毒」そして「第二次法定消毒」「第三次保管消毒」へと移行して、殺菌/不活性化を行ってください。基本的に作業には、手袋をして行ってください。

付着した洗浄ルネサンス200倍希釈液を流水で洗い流します。そしてステンレス皿に置き、鋏をティッシュペーパーで上下挟みます。もし明らかな血液付着が認められた場合は、分解して行なってください。その状態でティッシュペーパーにフィリオ30ナノを数回噴霧(5回で1cc)します。1分程放置した後に流水洗浄し、新しいティッシュペーパーで拭いて水分を取り除きます。その後にエタノールを噴霧して新しいティッシュペーパーで水分を良く拭き取ってください。血液付着した鋏は、その後でエタノールに浸漬させます。最後にティッシュペーパーなどでエタノールを拭き取り、機械油を注してメンテナンスいたします。

櫛(整髪ブラシ)

手袋をしてロータスクィーン5倍希釈液を使用して指で擦り洗いし、流水で洗い流します。ロータスクィーンがない場合は、家庭用中性洗剤を使用してください。そしてステンレス皿に置き、櫛をティッシュペーパーで上下挟みます。その状態でティッシュペーパーにフィリオ30(500ppm)を数回噴霧(5回で1cc)します。1分程放置した後に挟んだティッシュペーパーを取りながら同時に水分も取り除きます。そして、エタノールに10分以上浸漬させます。終了後は水分を良く拭き取って保管してください。

剃刀

付着した洗浄ルネサンス200倍希釈液を流水で洗い流します。水を切った後に分解してステンレス皿に置き、剃刀をティッシュペーパーで上下挟みます。その状態でティッシュペーパーにフィリオ30(500ppm)を数回噴霧(5回で1cc)します。1分程放置した後に挟んだティッシュペーパーを取りながら水分も取り除き、エタノールに10分以上浸漬させます。そして保管消毒として、流水後に逆性石鹸溶液に浸漬保管いたします。

シェービングブラシ

ブラシ部位を素手を使わず手袋をして流水で洗い、原液のフィリオ30ナノをブラシ部位にティッシュペーパーを包むように巻きつけ、中身と共に外側にも充分に噴霧して洗浄消毒。流水洗浄後に煮沸消毒器で煮沸消毒し自然乾燥します。もしくは紫外線消毒器内で保管消毒します。毛の細いブラシは、様子を確認しながら作業をしてください。 流水洗浄後にブラシ部位のみ煮沸消毒器で煮沸消毒し自然乾燥します。もしくは紫外線消毒器内で保管消毒します。毛の細いブラシやナイロン毛などは、様子を確認しながら作業をしてください。

シェービングカップ

流水で洗い内外部を手袋をつけてロータスクィーンもしくは中性洗剤で洗浄し、流水洗浄後に原液のフィリオ30で噴霧消毒します。泡皿部の場合は、ティッシュペーパーを薄くしきつめてから噴霧すると効果的です。 その後に、次亜塩素酸ナトリウム0.1%溶液にて10分間浸漬消毒させます。流水洗浄後に自然乾燥、もしくは紫外線消毒器内で保管消毒します。

トリマー

ウェットティッシュで本体の汚れを取ります。そしてステンレス皿に置き、刃を中心にティッシュペーパーで上下挟みます。もし明らかな血液付着が認められた場合は、分解して行なってください。その状態でティッシュペーパーにフィリオ30を数回噴霧(5回で1cc)します。1分程放置した後に挟んだティッシュペーパーを取りながら、同時に水分も取り除きます。エタノールを噴霧した後に、新しいティッシュペーパーで水分を良く拭き取ってください。 刃が取り外せる場合は洗浄ルネサンス200倍希釈液に浸漬洗浄させ流水で洗い流します。そして、エタノールに浸漬させます。最後にティッシュペーパーなどでエタノールを拭き取り、機械油を注してメンテナンスいたします。

使用小物(ダッカールピンなど)

 洗浄ルネサンス200倍希釈液で浸漬洗浄した場合は、流水で洗い流します。直接的に肌に触れた物でなければ、エタノールを噴霧してウェットティッシュで拭いて保管してください。血液付着があった物は、フィリオ30ナノの噴霧による洗浄消毒を行って、流水洗浄します。その後で材質や形状により、エタノール浸漬など法定消毒へ移行してください。

カットクロス/タオル/白衣

訪問先でついた髪の毛を綺麗に落とし、洗剤を入れた洗濯機で洗濯してください。血液付着した場合は、ゴム手袋してフィリオ30ナノを付着箇所に噴霧した後にロータスクィーンを噴霧して揉み洗いします。その後に可能でしたら家庭用漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)0.1%溶液に10分以上浸漬消毒します。その後で、洗濯機で洗剤を入れて洗濯いたします。すすぎ洗いは、流水しながら行います。この時は他の洗濯物とは一緒に洗わないでください。 なお、嘔吐など激しいタンパク質汚染があった場合は他の洗濯物とは一緒に洗わないでください。

ブルーシート

箒で刈毛を集め使い捨てビニール袋へ入れます。その後、フィリオ30(10倍希釈)を噴霧し、手袋着用で、ウエットティッシュで拭き掃除し次の施術に使います。 なお、嘔吐など重度のタンパク質汚染があった場合は破棄します。
 
使用後も同じ工程を行い使い捨てビニール袋に入れ持ち帰ります。帰店後は、掃除機等できれいに清掃し、フィリオ30(10倍希釈)を噴霧し、手袋着用で、ウエットティッシュで拭き掃除し、完全乾燥後、使い捨てビニール袋で保管します。

使用済マスク/使用済手袋/使用済指サック 

破棄します。

密閉容器

次亜塩素酸ナトリウム0.1%溶液に10分浸漬消毒いたします。材質的に無理な場合は、 ロータスクィーン5倍希釈液で洗浄しティッシュペーパーを使用してフィリオ30ナノで噴霧洗浄、流水洗浄してから乾燥させてください。